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今更『それ』を問う男性に
異様な怒りが湧き上がった
俺はスマホの振動を止めると
無意識に口角が上がるのを自覚していく
「…『敵』に回って欲しいんですか?」
俺が放った低い声に
男性は眉を訝しげに寄せる
「…12年前のあの日…
俺はあなた方、神龍会という
仇(あだ)にこれ以上ない程の
『譲歩』をしたつもりですが…」
それは俺にとっての最大の譲歩であり
彼らが成すべき精算の一つだ
「…"俺たち"が今まで
『黙認』してきた意味を考えてください」
脅しにも似た俺の言葉に
彼は悔しそうに舌打ちして
寂れた店内から去っていく…
人間誰しも自分が一番可愛いんだ
だが、それによって
犠牲になる人間がいる事を
ーーー忘れてはいけない
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