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ーーー『幸せ』
"永遠子の幸せ"
愛する娘の行く末を
案じる母親の心
きっと俺はその心を
何度も踏み躙ってきただろう
「…可南子おばさんは…
ああ言ったけど…」
二人が眠る墓石に向かい
俺は目を伏せる
真夏の朝の風が吹き抜け
俺の髪を攫う…
「…俺は許されたい訳じゃない…」
俺の口から零れた声が
風に乗って消えていく
永遠子本人にも…
俺はそれを告げた
俺の犯してきた罪を
『決して忘れるな』と…
こんな愚かな俺を
受け入れようとする永遠子に…
俺が傍に居ることを
ーーー『決して許すな』と…
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