世界の始まり

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トレーにアイスコーヒーを乗せ 男性医師の妻である女性が奥の方から現れた 夫と俺にグラスを配り トレーを片手に腰を摩る 身重の女性の姿を見ていると 自然と俺は上げた腰をソファーへと下ろした 「…すみません、お気遣いくださって ありがとうございます」 俺が礼を言うと 身重の女性は柔らかく微笑み 男性医師の隣に腰掛けた 「少し休んだら病院行ってくるわ」 「まだ午後の診療まで 時間あっから送ってく」 「それはいいから。 龍臣と美月のお迎え、お願い。」 仲睦まじい夫婦の会話を聞きながら 奥さんの大きくなったお腹に 自然と目が向いてしまう 「…お子さんは…三人目ですか?」 俺が不意に問い掛けると 男性医師は奥さんの頭を撫でた 「あぁ。 なかなか働き甲斐がある」 男性医師が冗談混じりに言うと 奥さんはクスッと傍らで微笑み… ーーー仲の良い夫婦、だな… ・
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