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あの頃の俺の日常は三神という家に縛られ
その規定に添って操り人形のように動くこと
「蒼志様、本日は学校終業後
ピアノ、ヴァイオリン
空手、剣道、弓道のお稽古でございます」
「休日には、空手の県大会
ピアノの発表会が入っております」
「もう、既に巷では“神童”と
呼ばれているんですから。
蒼志様は逸材でございますわ」
馬鹿みたいにそんな事を話している大人を
俺はただ淡々と流していく日々
常に俺の周りには人がいて
大人達は俺を褒め
周りの子供は羨望していた
幼少期から創り上げられた
優秀な俺という『人形』は
誰もが賞賛する高貴な美術品だった
その中で俺はいつも独りだった…
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