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ーーー永遠子がいない時
俺にとっての三神家の屋敷は
凍り付くような冷たく暗い空間に浸される
「三神家の名に恥じぬように
常に威厳を持ち、人を統率する
人の上に立つ器量を持て。
その名を汚すような行いは許さん」
父・三神誠一郎が
俺と二人で対峙する時の顔は
ーーー“父親”ではない
「お前はこの三神家の事だけ考え
その為だけに生きろ」
ーーーその為だけ
厳しい表情に鋭い視線を向けて
俺に“人となり”を教え込む
三神家は世襲制の政治家一族だ
それを継続させる為だけに
理不尽な言葉も全て正当化されていく日常
“俺”自身の尊厳は無いに等しい
生まれる家を間違えた、と
何度思ったことだろう
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