世界の始まり

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俺が告げると 永遠子は更に瞳を潤ませて… 「…死んだら…もう… 会えないんだね…離れ離れなんだ…」 永遠子が思い出しているのは きっと満面の笑みで頭を撫でる ーーー父親の姿… 「…顔が見れなくても… 会えなくても… 晴彦おじさんは傍にいるよ…」 永遠子の頭を撫でながら 俺は言葉を紡いだ ただ慰めたかっただけ、なのかもしれない ーーー涙を浮かべる永遠子を… 「…傍に…?」 見上げた永遠子に微笑んで 永遠子の頭から手を離し 小さな掌を握り締めた 「永遠子はちゃんと 晴彦おじさんを覚えてて… 永遠子の中にはちゃんと 晴彦おじさんがいるだろ? だからーーーーーー………」 いつまでも ーーー永遠子の中に 「記憶の中にいるなら ずっと繋がっていられる 忘れずにいれば… 心だけは繋がっていられる」 コレは永遠子を慰めるつもりでいて 俺の願い、だったのかもしれない “忘れずにいれば 心だけは繋がっていられる” 「…あたし…お父さんも… 蒼ちゃんの事も…絶対に忘れない」 俺が握った手を握り返して 永遠子が力強い声で告げた言葉に 一気に胸が熱くなった ーーー『忘れない』 ・
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