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「蒼ちゃん、おかえりー!!」
通っている小学校から帰宅すると
満面の笑みで迎えてくれる永遠子
俺はその笑顔を見ただけで
自然と笑顔が浮かぶ
「ただいま、トワ」
三沢晴彦が亡くなり
女手一つで永遠子を育てる
永遠子の母・三沢可南子は
昼夜問わずに働き出した
俺の父親が援助を申し出たが
有無を言わさず断わられたようだった
その代わり母親不在を補うように
永遠子は俺の家で過ごす時間が増えて…
保育園が終わると三神家の屋敷に来て
母親が迎えに来るまで預かる
俺の父親がそれだけはさせてくれ、と
頑として譲らなかったのだ
俺は俺でその点だけは意見が一致して
父親の意見に賛同していたし
当たり前のように感じていた
だが、そこまでする
父親の心中がどんなモノなのか
あの頃の俺にはまだ察する事は出来なかったんだ…
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