大切な人

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「蒼ちゃん、平仮名 書けるようになったよ。 あとカタカナも…」 「うん、上手に書けてる。 トワは字が綺麗だな…」 嬉しそうに笑う永遠子に 俺の顔も綻んで… 就学前の永遠子は 俺と共に三神家の屋敷で勉学に励む日々 「永遠子お嬢様。 こちらの花のはもっと こういう風に…ほら、綺麗でしょう?」 使用人達も永遠子を可愛がっていて 密かに立ち振舞いや花の生け方を教えていた ーーーそんな日々の中 「蒼ちゃん。 あたしも空手か剣道やりたい」 唐突な言葉に 俺は永遠子を見て瞬きした ーーー空手か剣道… 危ない事はさせたくない。 ってのが俺の本音で… でも護身術程度なら させた方がいいのか…? 淡々と思考して とりあえず出した結論が… 「…トワ。 空手の代わりに俺がピアノを教えてあげる」 そう言った永遠子の瞳の輝きは キラキラと効果音が 聞こえそうな程に光っていた 「ありがとう、蒼ちゃん」 永遠子が俺に抱き付いて 俺は慈しむように包み込む 「蒼ちゃん、大好き…」 ・
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