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在り来たりな言葉も
永遠子が言えば温かくて…
永遠子の声が
俺の中に染み込んでいく
ーーー奥深くまで…
俺の中を満たしてくれる
そんな感覚だった
それから…
俺は屋敷の中にある
ピアノが置いてあるホールで
時間を見つけては音を奏でた
「蒼ちゃんのピアノの音、キレイ…」
「そうかな?
トワも練習すれば、このくらい弾けるよ?」
「でもあたしは蒼ちゃんの
ピアノの音が好き…優しくてホッとする…」
言葉の通りに
安心したように微笑む君に
俺の心も自然と休まる
永遠子は意外と筋も良く
教えた曲は弾けるようになっていった
永遠子が喜ぶ顔を見れば
無意味に思えていた習い事も
少しは意味があるように思えた
優しくて温かい
楽しくて嬉しい
穏やかな時間が流れていた…
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