六章

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お料理は美味しかった。修造先生も後藤さんも水島さんも、飲みながら食べながら時間が進む。 後藤さんの手が膝に触るのをピシャリと叩いたり、修造先生に触りながら話す水島さんからさり気なく目を背けたりもした。 「あー遥ちゃん、マジ可愛い!」 酔っぱらいの後藤さんをいなしながら、店の外でタクシーを拾う。 「送るよ!遥ちゃん」 修造先生に絡んでいる後藤さんをタクシーに押し込んだ。 呆れた顔で見ている修造先生の背後で、水島さんは笑っているけれど、なんだか私と目を合わせる時だけはつくり笑いに見える。 「修造先生。今日は楽しかったです、ありがとうございました」 ペコっと頭を下げる。『星が見たいです』あの言葉なんて、どうせ気にしていないだろう。 奥さんがいて、私より年上の娘さんも居て、綺麗な水島さんまでいるのだ。 私の隙間なんてあるはずが無い。 「遥ちゃ~ん。行くよぉ」 タクシーの中で後藤さんが声を掛ける。ため息が出そうなのをつくり笑いで誤魔化して、もう一度修造先生に頭を下げた。 「あー本当に嬉しいなぁ。僕のネックレスして、来てくれた」 にへらって笑って、後藤さんが言う。修造先生達の前では、すぐに触ってきたのにタクシーの中では窓側に身体を寄せて座る。 「水島さんまで来るとは、思いませんでしたねぇ」 「まあ、きっとこの後は……まっ他人事だし、でも良いなぁ。久々予定空けたら、何して良いかわからないんだからなぁ。つまんないオトコだよなぁ」 前を向いて後藤さんが呟いた。寂しそうな声で、本音なのだと思えた。
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