六章

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一度目とは違って少し余裕があって、後藤さんが私を喜ばせようとしているのがわかる。 こんな事にずっと悩まされてきたのだと思うと、複雑な気分だ。 SEXが特別な事だと思っていただけなのだろうか?どきどきした伊藤くんとの時と、好きじゃないけれど嫌じゃない後藤さんと何が違うのだろう。 これが後藤さんじゃ無かったら、別の感情が湧くのだろうか? 後藤さんの頭が下に向かい、私の足を広げる。やっぱり、それは恥ずかしい。 「やっ……後藤さん」 それでも後藤さんの生温かい吐息を、誰にも見せた事の無い場所に感じる。 「そんなとこ……汚い……」 さっきまで口腔で絡まっていた舌が、同じように絡みつく。 顔も上げ、むしゃぶりつくみたいに這いずり回る。唇で軽く挟まれたり、舌の先だけで形に沿って滑らせたり…… 引けてしまう私の腰を両手で包み繰り返す。 声が漏れる。違和感は徐々に解かれて、腰の奥に熱が篭る。不思議だ……こんな事をしていて、男の人は楽しいのだろうか? 後藤さんが動きを止めて、ごそごそと枕の方へ手を伸ばす。
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