六章

58/58
4256人が本棚に入れています
本棚に追加
/414ページ
二度目だからと云って、腰に重く入り込む異物にはまだ慣れない。 その様子を感じてか、後藤さんがゆっくり腰を動かす。 何だかひっくり返ったカエルみたいな自分の姿に、可笑しさが込み上げる。 耳元で後藤さんが、私の名前を囁く。触れてるだけで良いのにとそんな事を考えていた。 「送るよ。酔いも醒めたし」 「良いですよ。子供じゃないし……電車もありますから」 「だってさ……少しでも遥ちゃんと一緒にいたいし」 「後藤さん?」 「なに?遥ちゃん」 「子供みたいですねぇ……」 ぷぅっと頬っぺたを膨らませて、唇まで尖らせて後藤さんが私の胸に顔を埋める。 まあ、良いか。何だか、私の事なのに天井から眺めてるみたいな変な感じだった。 シャワーを浴びて、服に着替えて、大きな鏡の前で少し濡れた髪を乾かした。 前かがみになると胸元で星がゆらゆら揺れる。それが何だか嫌で、服の中に星を隠した。
/414ページ

最初のコメントを投稿しよう!