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「ねえ、遥ちゃん。聞いてくれた?」
駅から大学に向かうバスの中で声、をかけてきたのは岩田くんだった。
「一応、伝えたわよ。後は自分で誘ってね。岩田くん」
「あーそうするけどさ。遥ちゃんはOKって事だよね?」
ふーん。なるほど……そう云う事になるわけだ。
「どうしようかなぁ」
「えー向井が泣くぞ!楽しみにしてるのにさ」
「しーらない。向井くんには誘われてないし」
「んーそりゃそうだよな。ごめん!遥ちゃん!」
岩田くんはバスを降りたところで、大袈裟に両手を合わせる。
どうやら夏のバーベキューの話は、岩田くんと向井くん二人の約束事だったらしい。
申し訳なさそうに岩田くんが告げた。
「どうして、そんな面倒な事するわけ?どうせ向井くんにも伝わるでしょ?」
「そうなんだけどさぁ……あいつ奥手なんだよね。昔振られたのがトラウマみたいな」
頭に伊藤くんの姿が浮かんでしまった。全然関係ないのだけれど、向井くんは伊藤くんに似ている。
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