七章

6/40
4255人が本棚に入れています
本棚に追加
/414ページ
三人が『えっ?』って顔をする。 「なに? 私、変な事言ったかな?」 「ちょっと意外……遥がちゃんが行こうって言い出すなんて。まあ、それなら私も良いけどさ」 「やりっ! 良かったな向井!」 「岩田ってさ……調子良いよね。お前が勝手に遥ちゃん達誘ったんじゃん」 「へぇーじゃ、向井は嬉しくないのか?」 向井くんは照れたみたいに私を見て「いや……嬉しい」って呟いて、岩田くんに背中を叩かれていた。 「ねえ、あんた達。それは良いけど、ちゃんと計画してよ! 野宿みたいなのは嫌よ。どうせなら近くに温泉があって、泊まるトコはちゃんとしてなきゃダメだからね!」 「ふふふっ! その点は大丈夫! 親父の会社の保養所借りたからな。ロッジで部屋もちゃんと分かれてるし。何せ格安!」 「あんたってさ……そう言うトコ意外だわ」 「意外って、酷いなぁ光希。俺に惚れても良いんだぜ」 「……前言撤回。今んとこご遠慮させていただきます」 手のひらを岩田くんの顔に突き出して、光希ちゃんが笑う。 良いコンビに見えたりする。ぎゃあぎゃあと戯れる二人を見ながら、向井くんが私に言った。 「ありがとうね。遥ちゃん」 『斉藤さん』から『遥ちゃん』に呼び方が変わったけれど、悪い気はしない。ちょっと嬉しかったりした。
/414ページ

最初のコメントを投稿しよう!