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それっきり、部活には行かず夏休みが終わった。
元々、苦手だった数学はもっと苦手になったし、暫くは親戚のお兄ちゃんすら怖くて仕方なった。
先生は二年生の間、私を無視した。三年に進級した春には、学校に先生は居なかった。
大人達は口を濁したけれど、着替えを盗撮しただとか、生徒の誰かをアパートへ連れ込んだだとかの噂が飛び交った。
学校で先生を見かけなくなったのは嬉しかったけれど、やっぱり数学だけは苦手な侭だった。
都立高校の受験も苦労した。大学受験でも数学がネックなのだ。
「ホント、お姉ちゃんって数学だけ苦手だもんねぇ」
香澄がケーキを口に運びながら笑っている。
「そうよね。ねえ遥ちゃん、今更だけど、塾変えてみる?」
お母さんが真面目な顔で話し掛ける。
「まあ、今日はその話はよそう。せっかくの誕生日なんだからさ」
「あらっ、お父さんが受験の事なんて言うからよ」
「あー、そうだった。ごめんよ遥」
ばつの悪そうな顔で、お父さんが手を合わせ謝っている。
お母さんは笑いながらお父さんを肘で突いていた。
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