三章

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待ち合わせ場所は、塾の近い駅だった。西脇くんが親から車を借りると言い張ったけれど、瑠香は頑として譲らない。 『龍之介の運転なんて信用出来るワケないじゃん!私だけならともかく、遥ちんに何かあったらどうすんのさ!』 西脇くんは、其れで諦めて電車で行く事になった。 瑠香も私も大きな荷物で、西脇くんと伊藤くんは背中にバッグを背負っただけの軽装だ。 「重そうだね」 ひょいと伊藤くんが私のバッグに手を伸ばす。 「龍之介っ!優しくない!」 「伊藤が余計な事するからだよ……」 ぶつぶつ言いながらも、瑠香の荷物を持って歩き始めた。 瑠香と私は、クスクス笑い腕を組んで二人の後ろを歩く。 地下鉄で東京駅まで移動して、箱根までは一時間と少し。 平日だけれど、特急の車内は結構な人がいてはしゃぐ事は出来なかったけれど、こそこそと笑い合うのも楽しかった。
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