三章

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東京から離れると、お父さんへの後ろ暗さも薄れた。 「うわっ!凄い豪華なホテルじゃん!」 西脇くんが大袈裟に声を上げる。 「龍之介!うるさいし、恥ずかしい!チェックインには早いから、荷物だけ先に預けるよ」 駅からタクシーで乗り付けたホテルで、瑠香は慣れた感じでそんな事を言う。 フロントで、瑠香があれこれ交渉しているのを私達は後ろで見ていた。 「瑠香ちゃんってさ……なんか大人だよね」 伊藤くんが呟く。 「そうよね。見習わないと……」 そう答える私に、伊藤くんは困った顔をする。 「ん~僕は、今の遥ちゃんで良いんだけどね」 「こらこら、いちゃいちゃしてないで荷物預けてきて。自転車借りたから、遊びに行こうよ」
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