第6章―1

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 中山家で生活を始めて1週間ほどが経過していた。その間に幸が目覚めた回数は3回。目覚めて、日時を確認して、ノートを読む。  目覚める間隔が短くなるにつれ、ため息の数ばかり増えてしまっていた。  今まではずっと裕のアパートで過ごしていた。目覚める頻度だって数ヶ月に一度。ダラダラと部屋の中で過ごすか、もしくは透子に連絡がつくようであれば、出かけることだってあった。  ただ制限がないわけではない。突然の眠気に襲われたら、その後はどうなるかも分からない。自由気ままにお出かけなんてありえない。そんな恐怖は絶えず幸に纏わりつくものの、周囲の協力もあり、慣れてしまえばそれほど苦痛でもなかった。  しかし、縁談があり、玲子に捕らわれてしまった。そんな斉藤の屋敷での幽閉から開放されてみると、今度は中山の家のルールに縛られてしまっている。
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