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そうして、ぼくは”それ”を見つめた。
幅30~40センチほどの吊橋。……それだけ言えば、十分な説明になってしまうのが今更恐ろしいところだ。
お約束どおりは縄で出来ており、5センチ間隔薄く脆い、今にも壊れそうな板を繋いでいる。
そしてまたもやお約束通り、古い。
最後のお約束として、下は川原だ。
しかし幸い、高さは4、5mというところ。
落ちても死にしないだろうが、怪我はするだろうなぁ、という感じ。
頭からいけば勿論まずいが、その前に縄に捕まりさえ出来れば大丈夫だろう。
「…………で?」
「ん? 渡るんだけど?」
「何で?」
「挑戦の春だから」
…………はぁ。
春は学年、そして小学校から中学校に上がる季節(彼女は現在小学6年生らしい。田舎の娘は実際でっかく育つんだなぁ)、つまりは新しい季節よ。
だから、新しい物に挑戦するのよ! ……かぁ。
……若いなぁ……いや、実際若いの……か?
「じゃどっちから行くかじゃんけんしよう!」
「……はいはい」
「じゃーん、けーん……」
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