第1章

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 ……あまりにも淡々とした話だったので、最初、私たちはそれが何を意味するのか分からず、しばしポカンとしたほどだ。  しかし、徐々にその意味が身に伝わってきて、頭の中で理解できて来るにつれ、一気に血の気を失った。  彼らの話は、どこまでも合理的で理路整然としている。  同じ命は、もう必要ない。この星は命をはぐくむのに適した土壌である。太陽からの配置が絶妙だ。  収穫を終えた畑を更地に戻すように。  ……彼らは、次の生命の枯渇の時の準備として、この星をもう一度、創世の状態にまで戻し、まったく別の命をはぐくむ土壌として利用したいのだと。  即座に私たちは恐慌を来した。 けれど政府はもう十分な準備を終えていた。すべてのマスコミは国の統治下に置かれ、戒厳令が引かれた。  選択は自由であるというアナウンスが、再三、流れた。  20億という数字を出してはいるが、もしこれを越える希望があった場合も、十分、対応する用意がある、と政府は発表した。  しかし、リングをつけ、彼らとともに行くとき。 私たちは、人間でありながら、1つ、人間を越えたモノになるとも告げていた。  ……それがどんなものなのかは、公表されなかった。  
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