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「ほらほら、ゴダゴダしてねぇでまだ昼なんだしよ。訓練ってやつやろうぜ。」
「そうだね。ソーマ、剣術を教えるよ。君が持ってるのは剣だ。両刃だから扱いは刀よりは簡単かな。僕の感想だけどね。」
「刀も剣も同じじゃないの?」
「最近の子はすぐ勘違いするのよ。刀は片刃、剣は両刃よ。」
「俺にゃやっぱ素手が一番だな。」
「へぇー。すごいね。僕は両方刃がついてるから簡単なの?」
「少し頭を使って殺す必要がなくなるからね。片刃だと、気絶してしまうだけの場合があるんだよ。」
「よーし!僕、頑張るよ!」
「鬼慟隊は怪我した時のために応急処置の仕方まで学んでるのよ。怪我したら私に任せて。」
「なんだ、全部揃ってるじゃねぇか。んなら、宮殿の中庭にいくか。あそこなら誰もいないしな。」
カイは、二階の窓から外を眺める。
緑の芝生が広く敷かれ、まだ灯っていない電灯がたくさん置かれている。
白の少し豪華なベンチも置かれており、かなり広い為そこは中庭だとわかった。
それに、何故か人口も少ない。
こんな綺麗な中庭を、なぜ誰も使わないのか不思議なくらいに。
「ってか、坊やはそんな下着一枚に短パンで戦おうとしてたわけ?」
そう。今の僕は白いTシャツ一枚に水色の短パンを履いていた。
だから余計、ガタイも弱く見えるのだ。
「僕の服を貸そう。僕が騎士団に入った時の下っ端の服だけど、それなら君も着れると思うんだ。ちょうど僕が13歳の時くらいに入ったからね。」
「そういえばテメェ、何歳だ?」
「あれ、説明してなかったかな。僕は15歳だよ。」
「え、じゅ、15歳で騎士団長!?本当に言ってるの!?」
「本当だよ。見かけによらずって感じかな。」
「でもロクサスは格好いいよ!僕、ロクサスが戦ったのは見たことないけどなんだが尊敬する!」
「ガキ、俺も見習え。」
「いたたた!」
カイは、僕の頭を握るように手に力を入れて撫でてきた。
僕はガキという名前じゃないのに、なぜかそう呼ばれてしまうのだ。
身長のせいかもしれない。
かといっても、カイはロクサスより低いから165cmぐらいだと思う。
僕の予想が当たれば、の話だ。
「本当、賑やかね。それじゃあ、行きましょう。」
耳より高い位置に結わえた赤く短い髪を揺らしながら、エリーゼは微笑んだ。
そして一番先にドアを開け、僕達を中庭へと出させた。
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