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そこから一時間、二時間と時は過ぎる。
僕がロクサスに剣を振りかざし、ダメ出しをされながら交わし方も学ぶ。
ロクサスに教えてもらえば、僕だって強くなれる。
そんな意志で、僕はロクサスに特訓をしてもらったのだ。
それをつまらなさそうに立って見ているカイは、そろそろ自分の相手もしろ、と指をポキポキと鳴らしながら言う。
髪が金髪でガタイもいいだけあって、性格も僕の思った通りだった。
緑色の無地Tシャツにジーパンを履き、腰にはシースにナイフをさして、左耳朶には赤の丸いピアスをつけて、軟骨にはイヤーカフをつけている。
正直、チャラく見える。
だけどそれは見た目だけの話であり、中身をしればきっと優しいお兄さんなのだろう。
「頑張れー!坊やも大きい坊やも!」
「大きい坊やって、僕の事かな…。」
「僕はソーマだよ!」
「あら。坊やの方が呼びやすいわ。それなら、ロク坊って呼んであげても…」
「大きい坊やで結構だよ…」
剣を交えながら、僕達はそんな会話をする。
ロクサスは、大きなため息をついてそういった。
だけど、完全に呆れたという態度ではなかった。
僕の顔を見ながら微笑して、一度距離を置き、また僕に刃を向けて走ってくる。
少し攻撃のパターンがなれた僕は、別の方法でロクサスに切りかかった。
「…!」
「あのガキ、なかなかじゃねぇか。」
「へぇ。接近戦向いてるじゃない。」
「そうだね…僕もびっくりだよ。」
ロクサスが正面からまっすぐ向かってこないことは今までの特訓でわかった。
必ず右か左にワンステップをして、今の自分の立ち位置とは逆方向にいく。
そして僕が正面から来ると思って構えると背後に回る。
今回は右方向にワンステップだ。
それがわかった僕は、背後に回ってきた途端にロクサスが剣を持っている右手を左手で掴んだ。
そしてそのまま剣首をロクサスのお腹に押し付けてなるべく怪我をしないようにした。
ロクサスはそれを読んでいたらしく、 僕が掴んでいる腕とは逆の左手でロクサスは僕の剣首を持った。
見事に交わされたのだ。
「あとちょっとだったのになぁ…」
「ガキ、本気で強くなりたいのか?単純に今の稽古が長続きするだけじゃなく、俺達みたいになりたいのか?」
「当たり前だよ!じゃないと、僕だけ弱かったら戦えないからね。」
「大丈夫だよ。僕が守るから。ある程度戦えるくらいでいいんだ。君はまだ13歳なんだしね。」
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