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「あら、随分と甘やかせるのね。」
「お気に入りなんだな。このガキ。でもな、今はこいつの意思だ。強くなりたいなら俺にバトンタッチだ。元騎士団長みたいに優しくはねぇけどな。」
「やっと始まりの一歩を踏み出したのに急にランク上げ?」
「僕、やってみるよ!」
「無理だよ、怪我したら危ないじゃないか。」
「なんのためにそこに元鬼慟隊員がいるんだ。」
エリーゼは微笑みながら腕を組んだ。
言葉にしなくとも、彼女は私に任せなさいと言いたげな顔をしていたのだ。
そこまで言われると返す言葉もなくなったのか、ロクサスもため息をついて僕を見て微笑んだ。
そして僕の背中をぽんと叩きながらこういったのだ。
「相手は僕より強いよ。きっとね。強くても弱くても手を抜いちゃダメだよ。頑張って、君なら行けるさ。」
その発言の後に、僕の目の前にいる人物はカイに変わった。
先程のように、指をまたポキポキと鳴らす。
その後に、首を捻らせて首までポキポキと鳴らしたのだ。
僕も少し怖くなって、手汗が尋常じゃないほど出てきた。
「最初はお前からだ。俺に斬りかかれ。お前の敵と思って。そうだな、じゃあ俺は米軍だ。銃を持って狙撃されてると思え。」
「そうか。相手は銃なんだ。」
「そうだぜ。ちなみにな、接近戦はナイフの方が有利という事も覚えておけ。銃で接近戦なんか馬鹿がすることだ。バタフライナイフなりサバイバルナイフなりお前が使いやすいと思うものを太股にかけておくといい。いつでも取り出せるようにな。」
「この剣じゃだめなの?」
僕は、鞘から剣を引き抜いて上に掲げ、太陽の光に反射させた。
「君が持っている剣は双手剣っていって両手で持つものだよ。接近戦では片手は使わないようにしておいた方がいいんだ。だから片手で済むナイフがいいっていってるんだよ。」
「さすが元騎士団長。あいつの言う通りだ。」
「へぇ。あ!僕、外国で買ったよ。ナイフを三つくらい。少し小さくて剣首が格好いいけど刃先が短いのと、折りたためるのと、鞘がついた少し大きいナイフ。」
「ダガーとバタフライナイフとボウイナイフね。選ぶセンスはあるんじゃない?」
「どれも騎士団には縁がないや…。」
「まぁそいつは後で持ってくればいい。今は俺のこのサバイバルナイフを貸すから、それ使え 。」
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