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カイは、そういった後に左腰にかけてあるシースからサバイバルナイフを取り出し、手のひらでくるくると回した後に僕に渡した。
僕は初めてナイフを握って、少し重いことが分かったと同時に怖くなった。
本格的に、僕は人を殺してしまうのだろうか。
そう思い始めてしまったのだ。
「二人共気をつけてね。いくら鬼慟隊に応急処置が出来ても深い傷だと流石に一人じゃ手に負えないから。 」
「し、失礼ね!!こう見えて私、医学には自信あるのよ?」
「人は見かけによらず、だね。」
「うるさい。」
「いくぞー。俺が合図するから、その後にお前のやり方で俺に切りかかってこい。いいか、本当の接近戦だからな。油断するなよ。」
「任せて。」
僕はカイの全身を見て、合図を待つ。
その合間が長すぎて、僕は頬から汗が垂れだしてきた。
緊張なのか、怖いのか。
もはや、何もわからなくなってきたのだ。
ロクサスもエリーゼも立つのをやめ、近くにあるベンチに座って僕達を観賞する。
まるで闘技場で戦っているみたいだった。
「はじめ。」
そういって人差し指でくいっと僕を挑発し、訓練は始まった。
僕は合図と同時にカイのいる方向へ走り、身を低くしてナイフを胸元で構えた。
「あの構え…」
「あれ、どうみても初心者には見えないね。」
「そうね…。というか、あれは鬼慟隊がやってたやり方よ。身を低くしてナイフを構え、敵が目の前にいたら背後に回って首から狙うやり方。」
「首?どうして首なの?」
「羽交い締めをして首をナイフで押さえ込めば大抵は動けなくなるじゃない。私たちは抵抗させるより先に殺してたけどね。」
「さすがだね。僕はあんな接近戦、出来ないよ。」
「元騎士団長様にも無理はあるみたいね。」
「人間だから仕方ないよ。」
「はぁー。開き直るって、何なんだか。」
「いいぜいいぜ!その感覚!テメェやっぱ初心者じゃねぇな!」
「酷いな、僕は初心者だよ。」
カイが僕の狙う方向を交わし、笑顔でそういう。
僕がナイフを高速で動かすのは、相手の判断力を鈍らせるためだった。
僕は昔から戦闘ものが大好きで、ファンタジーも大好きだった。
そのため、どんな戦い方をすればいいかは映画や漫画を見ているうちに自然とわかるのだ。
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