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そう、宮殿の5階から見える大時計をみると、 時刻は19時を回っていた。
僕達が中庭に来たのは、15時頃だ。
あれから4時間も訓練をしていたとは、それほど集中して気付かなかったのだろう。
結果ロクサスは君の勝ちと言っていったので、どうやら僕は3人相手に勝ったらしい。
決してそれが嬉しいと思うわけでなく、今の僕は血を流す3人を見て罪悪感で満ちていたのだ。
カイを中心に両肩を二人で支え、僕は後ろでロクサスの剣刺を拾い、自分の双手剣を鞘に収めて3人の後を追った。
行き先は宮殿の中の2階だ。
僕達のアジトにて、再び本格的に話し合うのだろう。
これからの活動内容を主に、移動手段や戦闘方法など。
僕は最後に宮殿に入ったので、沢山の人々が入口で立ち尽くすのを少し見た後宮殿のドアをゆっくりと閉めた。
宮殿の中は見上げると豪華なシャンデリアがいくつもあり、地面には高価なレットカーペットが敷かれていた。
壁も赤と白の二色が交互に塗られてあり、しましま模様のせいか目がチカチカとしていた。
階段も赤く、僕は再び宮殿の素晴らしさを知った。
こんな高価な場所で、僕は暮らしていくのだ。
だけど少し嬉しく思える反面、これから人を殺してしまうのかと思えば怖くなった。
そして僕達のアジトのドアの前に立ち、ロクサスが鍵を開けるとその部屋に全員は沈黙のまま入る。
リビングの椅子に座って一息ついたところで、背後に入った僕はドアとともに鍵もかけた。
そして持っていたロクサスの剣を返し、ロクサスの隣の席に座る。
「お疲れ様、ソーマ。怪我はないかい?」
「僕は無傷だよ。でもロクサス達は…」
「ガキ、戦闘に出りゃこんな怪我、痒いもんだ。本当の痛さってのは、腕がぶっ飛んだり首から大量に血が出血してからわかるもんだ。」
「まぁそれだけ強ければ、腕がぶっ飛ぶなんてありえないけどね。」
「確認だけど、みんなは僕に手加減をしたの?」
「違うよ。それは君のためにならないからね。だから言ったじゃないか、君のその手馴れた戦闘方法で初心者はありえないって。」
「だよな。最後に聞くが、お前本当に初心者か?」
「そうだよ。ただ、ゲームや洋画が大好きだったから自然と身についたんだよ。」
「へぇ。そうなんだな。」
「なかなかじゃない。本当に。」
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