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「僕は王を殺せる程地位が高かったんだ。それに一応、元騎士団長だよ。ヘリくらい余裕で確保できるさ。さ、乗って。」
「僕、高いのは苦手かも・・・」
「それじゃあ下を見ないようにしよう。荷物は僕が持つから、一緒に乗ろう?中は広いしくつろげるよ」
「いい、荷物は俺が持つからそのガキをおんぶでもしてろ。じゃねぇとこのガキ疲れ果ててんぞ。」
「へぇ。たまには優しいじゃない。」
「いいから早く乗れ、鬼慟隊!」
「私はエリーゼよ。エリーゼ。名前で呼んでくれないかしら?」
「名前で呼ぶの苦手なんだよ。」
そう言ってカイは何故か頬を赤くした。
頭を掻く真似をして誤魔化しているところから、確実に照れているのだとわかった。
「てか、ヘリはどこに?」
「真横の窓見てみればわかるさ。ドアを開いて待ってるよ。」
「うわああ!いつの間に・・・」
「よくびっくりするね、坊やは。可愛いわね。な」
「いいから早く乗れって!待つの一番嫌いなんだよ!」
カイはエリーゼに強く怒鳴りつけ、部屋の窓を開けた。
エリーゼは呆れたように笑い、腕を組んでカイの背後に立った。
「先に乗ればいいじゃない。」
「そ、そりゃ、レディファーストってのがあるだろうが。」
「なかなか男っぽいね、じゃあお言葉に甘えてお先に。」
そう言うと、エリーゼは窓からヘリコプターの中へと入っていった。
鬼慟隊の独特な衣装を着て、背中には蛇剣とボウイナイフとライフルを掛けて目的地に挑む。
エリーゼが入った後に、カイは無言で僕達を見た。
「最後でいいから、お前ら先に行け。部屋の鍵もかけねぇといけねぇし。」
「じゃあ僕達もお言葉に甘えるよ。ソーマ、僕の肩につかまって。飛び乗るから。」
「え!?」
ロクサスは僕を抱えて、ヘリコプターの中へ飛び乗った。
一瞬だけ見えた二階から下の風景が頭から離れず、少し怖くなってしまった。
そう、僕は高所恐怖症なのだ。
おそらく最後だともっと怖いと言い出して躊躇うことをわかっていたからカイも先に乗らせてくれたのだと思う。
カイは僕達が乗っている間に玄関から全員の靴を持ち、部屋の鍵をかけて施錠が完璧に出来たところでヘリコプターに乗った。
これから、新たな世界へ導く為にある場所へ向かうことになる。
僕達Rebellionが、この世界とこの国を変えるのだ。
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