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ロクサスは、僕の目を真っ直ぐ見つめる。
そう、彼は僕に王様になればいいと告げた。
こんな弱い僕が王様になんてなれるはずがない。
僕は即座に目を逸らして、手を交差させた。
「む、無理だよ!強くならないと!今の僕だと誰一人守れない!」
「守ろうという意思がある。僕だって君のそばにいるさ。二人でこの国を大きくしよう。今までにない革命を起こしちゃえば、この国も大きくなるよ。」
「さっきから持ってるその武器って…」
「ん?これ?」
右手にもつ武器を上にかざしたせいで、電気の光が刃に反射した。
とても、美しい銀。
傷一つのない刃の切れ味はとてもよさそうだった。
「これはただ人を斬るための者じゃないよ。」
「え?」
酷く怯えている僕の肩を支え、ロクサスは僕の目をまた真っ直ぐ見つめた。
「その答えは君が見つけるんだ。」
「…」
「最初は僕だって怖かったよ。今だって怖いさ。人の血なんて見れたものじゃない。でも、僕には正義がある。使命がある。君にだって多分あるんじゃないのかな?」
「使命…?」
「ソーマ、家族はいる?」
「…うん。」
「兄弟は?」
「いるよ。弟が二人と妹が一人。」
「じゃあ僕らが戦わなかったら死んじゃうのは誰?」
「家族…」
「君には守るべきものもあるんだ。でも押しつけはしないし君が本当に怖いならその剣を僕に返して欲しい。だけど覚悟が決まって共に戦ってくれるなら鞘の中に剣を入れて。」
「いつか、慣れるかな。」
「何事にも慣れ程恐ろしいものはないよ。初心の心を忘れちゃダメだ。」
「僕に剣術を教えて。射的もなにもかも一から学びたい。」
「」じゃあ戦う意味が完璧に分かったってことだね。僕にも聞かせてくれるかい?」
「長くなるよ。僕の過去。」
「望むところさ。部屋でお茶でも飲みながら話そうか。」
僕は左手にもつ鞘の中に剣を納め、いくつもあるドアの一番左奥にある部屋の扉を開けた。
そこが僕達の部屋、いやアジトだ。
まだ幼い僕はよくアジトというものがわからないが、彼についていけばいい。
正直、今でもよく戦う意味がわからないが国王に対するせめてもの償いだ。
変に僕が他国で武器を買い集めたりしなければ、こんなことにはならなかった。
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