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――かち、かち、かち。
枕元にあった目覚まし時計の針音が凄く耳に触る。
いつもは気にならないのに、それこそアラームが鳴っても、スヌーズ何回目かでやっと聞こえるはずなのに。
気にしないようにと思ってたら今度は自分の音が煩い。
――隣に聞こえるんじゃね?
俺は、ぎこちなく首を左に向けた。
……すやすやかよ!
と、ため息が出そうになったけれど息を止めて首を戻した。
薄暗い天井を見上げて、ふーっ、と静かに息を吐く。
泊めるのいいって言ったけどさ……こいつ、知ってるよな?
俺がそっち――ゲイだって。
――――
「――髪、今日もぼっさぼさ」
「う……これはもう仕方ないんだって」
お決まりの朝の挨拶はもう慣れたけれど、こいつは毎度似たように返してくれる。
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