トナリ。

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バイト仲間のこいつ――リョータは俺と同じ年で、同じくらいの身長で。 趣味とかも結構同じで。 けれど、決定的に違うところがある。  こいつはノンケだっていうところ。 「――ケンゾーさ、俺と違ってかっこいいんだから早く彼女作りなよ」  ケンゾーは俺の名前。 そして、それはない。 「……かっこいいけど、今はいいや」 「もったいな」 「お前は?」  ――あ、余計な事聞いた。 もう遅いけれど。 「ん? おかげさまで――」  え、嘘、マジかよ――。 「――なんてな。お前と同じ」  同じって? まさか――。 「お前とつるんでる方が楽しいもん。って事で、今日お前ん家で飲みな」  俺は、ほっ、としたのと同時にちょっとだけ残念なものも感じつつ、了解、と断る事はしなかった。
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