トナリ。

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怖いんだ。 だから動けないし、知られてしまったから何度も確認したくなる。 何度も、呼びたくなる。 繰り返される秒針の音みたいに。 「……いーよ」 「マジ?」 「マジ」 「ほんと?」 「ほんと――って、何回言わすの」  リョータは笑った。 いつもの、下がった眉毛を作って。  あー……もう、たまらん。 夢落ちだったら明日死んでやる――嘘。 もったいないから死なん。 とりあえず、泣く。 もう勝手に出てきてるけれど。 「ちゃんと、聞きたい」  ぐすっ、と鼻啜ったりして俺、だっせ。 するとリョータは俺の鼻に自分の鼻をこすりつけてきて。 「言わなくてもわかれって……」
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