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突き抜ける青は永遠に続き、届かない地面が信じられないほど下に見える。
「あぎゃーーーーーーーーー?!落ちる、落ちる?!死ぬ死ぬ死ぬ!死ぬーーーーー??!」
真琴は、物凄い風の抵抗を感じながら、真っ逆さまに青い空の中を落ちていた。
夢にしてはリアル過ぎる感覚に、ヒュンッと体が縮こまるのが分かったが、分かったと同時に感じる『落ちる』という感覚。
真琴はそれを今もろに感じていた。
あぁ、死ぬんだ。
今年はまだ、大田見屋の秋限定の芋栗饅頭食べてないよ。
あ、苺大福もか。
今年は奮発して、白イチゴの大福を買おうと思っていたのに…
『あ、そうか?!これは、夢だ!夢なんだ!』
「え?だれ?」
突如、聞こえた同じ音の声。
ハモって聞こえた音は、近くで確かに存在した。
「びっくりさせてしまってごめんなさい。そろそろ着くから、覚悟してて?」
「え?着くってど…あぎゃっ!ぐぇっ!」
真琴の身体を、ガクンと引っ張る感覚の後、湿った青草の上に落ちた。
だが、あれだけ高速で落ちていたにしては、何とも上品な最後である。
真琴は、もっと考える暇もないほどの衝撃で何も感じる事のない最後だと覚悟していたのに、まるで走高跳びで失敗して地面に落ちた時のような感じだ。
「空の旅は如何でした?」
上から降ってきた声は、優しく問いかける。
見上げた先にあった顔は、自分にそっくりなので真琴は鏡でも見ているのかと勘違いするほどだった。
「この夢、随分と……リアル。」
「…ふふ、リアルだもの。」
「そうか、リアルに夢を見てるのか…また授業中に寝てなきゃいいけどな。」
考え込む真琴に、そっくり顔のその子はまた小さく笑った。
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