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私は家族と共にいつも通り生活を過ごした。話す度に母親も父親 も兄さえも「あなたの後には誰がいますか」と女の人の声を出してから話すのだった。わざとらしくないのは聞いている私が分かってしまう。だって話す度に赤いドレスの女性がその人の後ろから歩いたり後ろにべったりと立っていたりしているからだ。
こうして私は寝る時間が来て寝ることにした。
目を覚ました。スマホがないことに気が付く。起きて母親に聞いたが、知らないようである。母親のそれを借りてならしてみるが、反応がない。スマホのことは気にせず、昨日から続いている恐怖の声を除いていつも通り支度を済ました。
電車を待つ。いつもと違って誰もいない。私は構わず電車に乗るが、中にも誰もいなかった。私は手すりに手を掛けイスに座ろうとした時だった。聞きなれた音楽が鳴り響く。私は座ろうとしていたイスを見る。そこには自分のスマホがあった。着信画面が現れていた。相手は知らない番号のようだ。何となく切って見る。しかしまた瞬時に知らない番号の電話が掛かる。
私はスライドさせて電話を取った。
「あなたの後には誰がいますか」
私は後ろを見た。そこには顔から血を流し白目を向いている赤いドレス女の人が立っていた。
私は絶叫してしまった。
私は目を覚ました。布団の上にいた。スマホが近くにある。どうやら夢だった。
この後、私は何事もなく生活できた。昨日起きた声も家族から発せられなかった。電車の鏡にもその場の声も無かった。
そして私はこの日の夜のニュースで赤いドレスの女の人が結婚式に向かう途中、私の最寄りの駅から四駅離れたところで待っていた彼女を後ろから突き落とされて死んだという話しを聞かされたのである。そしてその犯人は無事逮捕されたようである。
(終)
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