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コンビニに行ってみたけれど、成瀬さんには会えなかった。
我に返るとなんだかとても恥ずかしくなってきた。
なんとなくコーンポタージュを買って帰ることにした。普段この時間に来ないから分からなかったけど、夜は男性のスタッフが多くいた。
コンビニを出て、歩きながら考える。初対面の人を好きになるなんて絶対おかしい気がする。成瀬さんのこと、よく知らないのになんでこうも心が惹かれるのだろうか。
コーンポタージュの缶のプルトップに指を引っかける。少しだけ熱い缶をずっと持っていると火傷しそうになる。
成瀬さんは、肌寒い日のコーンポタージュのような人だなと思った。
空を見上げる。星が綺麗だった。なんとなく成瀬さんにも見せたくなった。星が綺麗だよって。なんでかは分からないけど、心からそう思う。
月は見えない。でもきっと月も綺麗だろうな、と思った。私は今、他の誰かじゃなく、成瀬さんとこの空を綺麗だと思う感覚を共有したくなった。
会えなくてもよかった。成瀬さんもこの空を見て、星が綺麗だと思っているならそれだけで私は満足だった。
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