帰り道と雨宿り

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その日の空はいやに不機嫌で、よりによって私はそんな日に傘を忘れてしまっていた。 朝、家を出た時は雨も降っていなかったし、少し曇っていたくらいだったのに。 「…」 ため息が出そうだった。 ため息で幸せが逃げるというのは本当だろうか。 もし嘘なら今すぐにため息をつきたいくらいの気持ちだった。 学校を出て、走って帰れば駅まで20分。 雨が降る前には駅に着くつもりでいたのに、私は今シャッターの閉まった本屋の前で雨宿りをしていた。
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