帰り道と雨宿り

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「結構降ってきちゃったなー、いけると思ったんだけど」 思わず口を押さえる。 ひとりごとを言ってしまったのかもしれない。 でも、私の声じゃなかったような…。 それに男の人の声だったような気もする…。 隣を見るとびしょ濡れになった男の人が髪の毛を拭きながら立っていた。 さっきの声はこの人のものだとすぐに分かった。 20代前半くらいだろうか…冷たそうな人だった。 雨のせいで余計にそう感じるのかもしれない。 「もしかして、迷惑だったかな?ごめんね。」 話しかけられた。 まずい。 見すぎていたのかもしれない、あらぬ誤解を与えてしまっている。 「いえ、全然そんなことないです。こちらこそすいません、ジロジロ見ちゃって…あの、大丈夫ですか?」 なんでこんなにスラスラと言葉が出てくるんだろう。 不思議だった。
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