0人が本棚に入れています
本棚に追加
「よかった…。なんかすごい見てたから迷惑だったかなって心配になった。大丈夫だよ。ありがとう。」
やっぱり見すぎていた。
なんでずっと見ちゃってたんだろう。
なんでかは分かんないけど、この人にはそうさせる魅力があるのだと思った。
「雨、やまないね。天気は気まぐれすぎるよね。おかげで俺びしょ濡れだよ。」
その人はおあずけを食らった子犬のように言った。
「あはは」
しまった。どうしよう。笑ってしまった。
怒っちゃったかな。
「あ、笑った。さっきから顔が強ばってたから…なんかごめんね。俺、急に入ってきたからびっくりしたでしょ。」
「別にそんな…、私は全然大丈夫ですよ。気を使わせてしまってすいません…。」
優しい人だと思った。
このまま雨がずっと降り続ければいいのにと思った。
そんな私の気持ちとは反対に雨は弱まってきた。
「このくらいなら俺は全然大丈夫だから、もう行くね。ちゃんと雨宿りしていきなよ!風邪ひくと辛いだろうし。」
行ってしまう。
もう二度と会えないのかもしれない。
なら、大胆になってしまおうと思った。
言いたいこと、言ってしまおうと。
最初のコメントを投稿しよう!