帰り道と雨宿り

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「よかった…。なんかすごい見てたから迷惑だったかなって心配になった。大丈夫だよ。ありがとう。」 やっぱり見すぎていた。 なんでずっと見ちゃってたんだろう。 なんでかは分かんないけど、この人にはそうさせる魅力があるのだと思った。 「雨、やまないね。天気は気まぐれすぎるよね。おかげで俺びしょ濡れだよ。」 その人はおあずけを食らった子犬のように言った。 「あはは」 しまった。どうしよう。笑ってしまった。 怒っちゃったかな。 「あ、笑った。さっきから顔が強ばってたから…なんかごめんね。俺、急に入ってきたからびっくりしたでしょ。」 「別にそんな…、私は全然大丈夫ですよ。気を使わせてしまってすいません…。」 優しい人だと思った。 このまま雨がずっと降り続ければいいのにと思った。 そんな私の気持ちとは反対に雨は弱まってきた。 「このくらいなら俺は全然大丈夫だから、もう行くね。ちゃんと雨宿りしていきなよ!風邪ひくと辛いだろうし。」 行ってしまう。 もう二度と会えないのかもしれない。 なら、大胆になってしまおうと思った。 言いたいこと、言ってしまおうと。
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