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「うん。雨降ってきちゃって、雨宿りしてたらこんな時間になっちゃった。有紀は部活だったの?」
「ううん、今日は部活なかったんだけど、雨の中走ってきたら濡れちゃってさ…。だから、ファミレス寄ってちょっと休憩してたらこんな時間になってた。」
「それ、ちょっと休憩って言わないよね。でもファミレス寄って良かったね。多分、そのまま駅に向かってたらもっと濡れてただろうし。」
「そうそう、結果オーライだよ。でも、最初から雨宿りしておけば濡れずにすんだのに。そこは失敗。」
「失敗しなきゃ分かんないでしょ、有紀は。まだ台風の時じゃなくてよかったね。」
「さすがに台風の時は出歩かないよ。理沙は相変わらず微妙に毒舌だよね。」
私たちはお互いに笑い合った。
有紀のおかげで家の最寄りの駅まで余計なことを考えなくてすんだ。
家への道は反対方向だから私たちは駅で別れた。
時間は19時30分。10月にもなると夜は冷える。早く家に帰らなきゃと思いながら自転車のサドルをまたぐ。
駅の前のやけに長い信号を待ってると隣にも人が来た。
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