離してやれない

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思わず真白の手をギュッと握った。樹の前だというのに。 「真白の信頼をもう二度と裏切らないようにする。俺にはもったいない女だってことはよくわかっている。だから、大事にする。」 そんな俺たちを見つめて、樹はフッと息を吐いて頷いた。 「OK。サインするよ。」 「志保がね、司の刷り込みは凄いって。」 風呂上がりに真白の髪をドライヤーで乾かしてやっていると、真白がそう言ってクスッと思い出し笑いを洩らした。 「ああ、そうかもね。」 真白の友達に刷り込みとか洗脳とか言われるのは今に始まったことじゃない。 『司以外の男は怖くて気持ち悪い』 あの時、そう覚えこませなければ俺はとても正気じゃいられなかった。 セックスの快感を覚えたての人間が見境なく盛ってしまうのはイヤというほど知っているし、それが男だけじゃないことも知っている。 初めて真白と結ばれた後、真白は岡山に帰らなければいけなかった。上京して来た後だって、新しい環境には新しい出会いがある。 四六時中一緒にいられないから、真白の体が他の男を求めないようにしなければ平静ではいられなかった。 何度も何度も復唱させた。それと同時に何度も法悦に導いた。こんなに気持ちいいのは俺だからだ、俺と愛し合っているからだと繰り返した。 「私は…わかっているから大丈夫だよ。司が愛しているのは私だけだって。こうやって毎晩一緒に居て、エッチしていれば暴走しない。そうでしょ?」 「俺の暴走を止めるために仕方なく抱かれている?」 そうじゃないとわかっているのに、真白の口から聞きたくて。 ドライヤーを止めてうなじに唇を這わせながら、パジャマのウエスト部分からショーツの内側に手を入れた。 「うん。本当は気が乗らないんだけど、イヤイヤ抱かれている。」 そんな小憎らしい嘘をつきながらも、声は確実に色めいている。 「どの口がそんなことを言うんだ?こっちはこんなに正直なのに。」 ズボンとショーツをずり下ろして、俺に背中をもたれさせながら、ゆっくりと中指を動かす。 溢れ出した蜜でヌルヌルになったソコは淫靡な音を響かせて、欲情を煽る。 「あ…んん…つか…さ。」 「イヤイヤにしては嬉しそうだけど?」 俺の指に反応して大きく弓なりになると、真白が短く叫んで脱力した。 局部だけを空気に晒してピクピクと痙攣する体を後ろから抱き締める。
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