そんなんでいいと思ってるのか?

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今は一緒に暮らしていないから、浮気に気づいていないことがあるかもしれない。 今、わかっているのは氷山の一角だったりして。 それが全部わかってしまっても、私は耐えていけるのだろうか? 堂々巡りのような無限ループに嵌り込みながら、舞茸の和風ハンバーグを作った。ヒジキの煮物とキャベツとキュウリの浅漬け。大根と油揚げのお味噌汁。 どれも司の好物だ。 ハンバーグが焼けたところで、玄関からガチャガチャと鍵を開ける音がして文字通り飛び上がった。 「真白!!」 凄い勢いで入って来たのは、当然のことながら司だった。 片手にフライ返しを持ったまま、私はキッチンに走って来た司に、 「お、かえり、なさい。」 とたどたどしく言った。 次の瞬間、ギュッと抱きしめられた。 やっぱり、私はこの腕の中がいい。 「ただいま、真白。良かった、居てくれて。」 首筋の髪の中から聞こえたくぐもった司の声は涙声だった。 「真白、愛してる。お願いだから、もうどこにも行くな。」 「心配かけた?私、バカだよね。お財布も持たずに飛び出すなんて。」 茶化すように言ったのは、私までもらい泣きしそうになったから。 私は司の前で泣きたくなかった。泣きたかったけど、泣きたくなかった。 「そう思ったら戻って来いよ。」 「あの時は司と一緒に居たくなかったから。」 私がそう言った途端に司は気まずそうな表情を浮かべた。 だいぶ気持ちは落ち着いたつもりでいたけど、司の顔を見てさっきの乱れたベッドを思い出したら、また辛くなって俯いた。 「真白、俺」 言いかけて、私の手からフライ返しをそっと抜き取った司はフライパンを覗いてゴクリと喉を鳴らした。 「真白。話後にして、飯食っていい?俺、腹減って。」 「うん。ちょうど焼き上がったところ。食べよう?」 そこで、ふと思い出したのが瀬名さんのことだった。 私が助けを求めたら、ドアを破ってでも来てくれると言っていたんだから、とりあえず大丈夫だと伝えた方がいいかもしれない。 「っと、その前に。司、私のバッグちょうだい。」 訝しげな司から自分のバッグを受け取ると、お財布から2千円を取りだした。 そして、ヒジキの煮物と浅漬けをそれぞれお皿によそって、ラップをかけた。 「真白?」
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