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「ちょっと瀬名さんのところにお金返してくる。お詫びにこれ持って行っていいでしょ?お皿は後で返してもらえば。」
一応、司に聞くと、思いっきり顔をしかめられてしまった。
「瀬名さんに金借りたの?なんで?」
「だって、お腹空いたんだもん。
あ、ついでに夕べここで、はしたない声上げていたのは私じゃないって説明しておいたから。」
司のギャフンとした顔を横目に、瀬名さんの家に向かった。
「待て。俺も行く。」
すぐに司もついて来て、二人で瀬名さんの家のドアの前に立った。
「無事か。」
ブザーに応えて出てきてくれた瀬名さんは私を見るなりそう言った。
ぶっきら棒な言葉の中にも心配してくれていた瀬名さんの優しさが伝わって、私は何も言わずにお皿二つとティッシュにくるんだお札を瀬名さんに突き出した。
ありがとうと口を開いたら、号泣してしまいそうだった。
瀬名さんは無言で受け取ったそれらを下駄箱の上に置くと、ドアの外に一歩出て、私の頭を抱き寄せた。
「うっ、あり…がと…っく…」
瀬名さんの胸で私は泣き崩れ、瀬名さんはそんな私の頭を優しく撫で続けてくれた。
「いろいろご迷惑をおかけしました。」
司の硬い声に、ピタッと涙が止まった。
この状況は司にはちょっと面白くないかも?
「ホントいろいろあったみたいだな?
真白ちゃんに金貸すのは迷惑でもなんでもないけどな。」
低い声でそう言うと、瀬名さんは泣きやんだ私の顔を覗き込みながら、もう大丈夫?と小声で尋ねた。
私が頷くと、瀬名さんは両手で私の腕を掴んで、グッと瀬名さんの左側に移動させた。
と思ったら、いきなり司が後ろに吹っ飛んで壁にぶつかった。
「司?!」
何が起きたのかわからなかった私も、司が赤くなった頬をさすりながら立ち上がるのを見て、ようやく理解した。瀬名さんが司を殴ったんだ。
「司。おまえ、そんなんでいいと思ってるのか?
逆の立場だったら、おまえ耐えられるのか?
おまえがこのままズルズル続けるのなら、真白ちゃんは俺がもらう。いいな。」
私は瀬名さんが声を荒げるのを呆気に取られて見ていた。
ゲームでどんな白熱した場面になっても、いつも冷静沈着な瀬名さんが!
「いい訳ない。真白は俺のものだ。誰にも渡さない。ケジメはつける。」
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