第2章

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201号扉前 ピンポーン 幸恵は念のためインターフォンを押し暫く待った。 空く気配もないのでドアノブに手をかける。予想通り施錠がされているので借りたカギを使い解錠に踏み切った。 (やっば、ちょっとドキドキする) カギをポケットにしまいそっと扉を空けた先は、男の一人暮らしの匂いがした。 「失礼しまーす。美佳さん大丈夫ですか?」 遠慮がちに言いながら、幸恵は中へ足を踏み入れた。 「…いない?」 リビングまで行くと寝乱れたベッドがあったものの、そこには誰も寝ていなかった。幸恵は時代劇よろしく布団のぬくもりを確認した。 「…冷たい?」 ふと見ると、ベランダの窓が開いていた。 「まさかね」 恐る恐る階下を見るが、そこに大林が飛び降りているということはなかった。 「だーよね」 ほっとした幸恵は一人呟いた。
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