第2章

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「うん?」 ほっとした幸恵の目に飛び込んできたのはベランダにできた傷だった。 「なんだろう?このロープがすれたような後?ま、いっか」 不謹慎な妄想は振り払うと部屋のどこかで倒れている可能性に頭が言った。 (取り敢えず彼氏がすぐ様子見にきてくれると踏んでクローゼットに隠れたとか) 幸恵はπを90度回転させたような形のノブに手をかけかけたが、そこはさすがに開くのはやめた。 (ここはさすがにプライバシー!) なんだかストーカーにでもなった気分だった。 「美佳さーん居ますか?」 ノックをしながらトイレを確認したがそこにも大林の姿はなかった。 「一体何処に?」 とにかく、一度下へ戻ろう。そう思った時だった。 バン!ドサッ!という大きな音が鳴り響いた。 「何?!」 「きゃー!」 (俗に言う絹を裂くような叫び!てか何?) 急いで玄関から飛び出し階下へ走ると、堂藤が101の中へ飛び込んで行くところだった。
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