四角い友情

第4章

「なるほどな。しかし明確な証拠は何もないな」
堂藤は言った。それは他の二人も共通の見解と言える。
「確かに、そうです。しかし、これも無責任な見解ですが、大林さんを部屋に見送ってから田村さんは不自然に手のひらを隠していたように思います」
確かに、そうだった。部屋に戻る大林を見送った後両手で持っていたビール、幸恵にカギを渡す際の動作、事件発覚後はうなだれ、ずっと膝に手のひらをつけていた。
「これは、突破的に首を締めてしまったために手のひらに紐の後がついてしまったせいではないでしょうか？」
確かに、101には凶器に使われたような紐が荷造り用に何本かあったが、軍手は置いていなかった。突発的に殺害したのならば、軍手がないのも当然だった。