第2章

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心配そうな顔の幸恵に田村は続けた。 「大丈夫ですよ。僕の部屋すぐ上の201なんです。彼女も部屋まではなんとか行けるって」 「そうなんですか」 「ただ、申し訳ないんですが奥さん、実はちょっと今ケンカしていまして、一時間位したら様子見てきてもらえませんか?あいつ奥さんになついてるから喜ぶと思うんです」 田村が細い長身を屈めて拝むようなポーズをした。 「いいですよ」 「助かります。じゃあ、これ部屋のカギです」 ビールをおいてポケットからカギを出すと両手で拝むような形でキーホルダーを握り幸恵へ渡した。 「確かに預かります」 幸恵はカギを預かり同時にスマートフォンのタイマーをセットした。 「几帳面ですね」 それを見た堀田が笑っていた。
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