第2章

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「呑んで忘れると行けないんで」 幸恵はそう言うとスマートフォンとカギを左手に握り、右手でウイスキーのグラスを持った。 「そのカギもなくすと厄介ですよ」 堀田が続ける 「マスターキーは会社預かりで複製は禁止されているから、それしかカギないんですよ」 「そうなんですか!」 「そうなんです。だから、彼女にもカギ渡してやれないんです。もっともこんなド田舎の寮に彼女一人で自力でくることはないんですが」 「いっつも田村、駅まで迎えにいくもんな」 堀田だけではなく堂藤にも坂田にも周知の事実らしい。 「田舎でしょ。夜何にも音がしないから田村が仕事から帰ってしばらくして車出す音でまるわかり」 何で知ってる!と驚いた顔の田村に坂田が言う。
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