第1章

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今朝起きたら、アパートの部屋の前にダンボール箱が置かれていた。 荷物を頼んだ記憶はない。 不審に思いながら開けてみると、なんと5歳ぐらいの幼い男の子が眠っていた。 「……!?」 そのせいで私、桐川優美子(きりかわゆみこ)はプチパニック状態だ。 近所で見かけたこともない子供。 「誰っ!? もしかして誘拐されてここに置き去りに? それとも親に捨てられたの?」 わからないことだらけだ。 幸い今日は日曜日、仕事は休みで予定もない。 とりあえず男の子を家に入れ、私は急いでミルクを買いに行った。 自分の子供はいなかったので5歳児が何を食べるのかわからなかったが、まるで捨て猫を拾ったような感覚だったのだろう。 その後で警察にでも相談しに行こうと考えながらスーパーへと向かう。 ところが…… 帰って来ると男の子はいない。 もちろん鍵はかけていったし、帰ってきた時も閉まっていた。 窓も鍵がかかったままだ。 トイレ、風呂場、押し入れの中も探したが、やっぱりどこにもいない。 「どういうこと? 朝の男の子は夢だったの!? でも……そんなはずない……確かにいた……。」 どうしようか。 やっぱりここは警察に相談? そう考えた私は、近くの交番に行こうと玄関を出た。 瞬間聞こえた子供の笑い声。 それも何人もいる感じ。 「あ、友達の声がしたから外に出たのかな? そのままみんなで遊んでるのかも。」 鍵がかかっていたことは頭の中からなくなっていた。 ほっと安心して笑い声の場所を探す。 アパートの階段付近から聞こえる気がしたのでそこへ向かう。 そこで見つけたのはまたしてもダンボール。 周りに子供の姿は見当たらない。 隠れんぼをしているのかと思いダンボールを開けると…… すでに亡くなった男の子が入っていた。 そして、どこからかわからない止まない笑い声たち。 私は驚いて声も出なかった。 突然、昼間なのに世界が真っ暗になった…… これが全てのはじまりだった。
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