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鼻を啜った俺は彼女に対して頭を下げた。
『すずこさん、アツシさんのことお願いします』
『…』
彼女は俺の言葉に顔を赤らめた。
『…こちらこそ…』
消え入りそうな声でそう言った彼女は本当に可愛くて俺の頬が緩んでいく。
『じゃ、僕はこれで』
俺はそう言って立ち上がる。
『え?』
戸惑ったような声が聞こえたけど俺は背中を向けた。カウンターに向っていくと戻ってきたアツシさんとすれ違う。
『タカヒロ?』
『後はお二人でごゆっくり』
アツシさんは照れ臭そうに笑うと足早に彼女の所に戻って行った。カウンターに戻った俺にショーキチが生ビールを差し出す。
『なんか、すんなり戻って来たね』
『安心したからかな』
『安心?』
彼女にならアツシさんを託せる。彼女ならアツシさんと一緒に歩んでくれるだろうって、そう思えたから…
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