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冷めた子供だったと思う。
俺は小さな頃からチヤホヤされることに慣れていた。俺を見る女の人はみんな俺をこう呼んできた。
「王子」
それが当たり前になっている自分ってどうよ?なんて思いながらも、受け入れるしかない。
端正な顔立ち。鍛えた体。そして甘く響く声。
どう見ても王子と呼ばれることが違和感なかったんだろう。周りの人も簡単に受け入れていくんだから、俺が調子に乗ってる訳じゃないでしょ。
音大を卒業して音楽教室のボイストレーナーとしての仕事も決まり、順風満帆な日々。
俺の人生はこのまま穏やかに過ぎていく。そう思っていたのに…
あの人は俺の前に不意に現れたんだ。
「王子」と呼ばれる俺とは正反対の人。
でも何故だろう…あの人には勝てる気がしないんだ。
「黒眼鏡の君」には…
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