第1章

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初日の仕事が終わった。どうやら歓迎会なるものがあるらしく、女性講師たちに囲まれて居酒屋に連れて行かれた。 少し大きめの座敷に通された俺は真ん中の席に座らされる。その隣を誰が座るかで揉めている姿は滑稽だ。誰でもいいって…とは思いながらも口にせず、あざとく見える笑顔で隣に座った女性講師に応える。 乾杯が済んで宴会が開始された。飲みながら酒席についているメンバーの顔を見つめていくと隅の方にいる男に目が向いた。 なんだ、あの人? 驚きと言うか、ちょっとビビった。 俺が目を止めた人は朝紹介された時はいなかった気がするんだけど… サングラスに口髭、独特の雰囲気。隣にいる講師に酒を進められても手で遮りあしらっているように見える。そんな態度なら来なくてもいいんじゃないのって思うくらい、その人は他人を寄せ付けないオーラを放っていた。 本当にあの人音楽教室の講師なのか?
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