第1章

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『今日は帰った方がいいですね。また明日』 有無を言わせずにそう言ったけど、彼女たちは動かない。とっとと立ち去ってくれないと俺が動けないんだけどな… 『てめぇ、放せって言ってんだろ!』 男が声を荒げたせいで怯えた彼女たちは足早に去っていく。そうそう、それでいいんだよ。 俺は男たちの首に手を回し裏路地に入った。ここなら人目につかないだろう。 そこで手を放すと二人はさらに声を荒げてきた。 『てめぇ、ふざけんなよ!』 一人が俺に向かって拳を振りかざす。けど、大振りすぎ。ふっと鼻で笑って体を逸らし、勢いよく突っ込んでくる男の足を引っかけた。でかい音を立ててすっころんだ様子に笑いが漏れる。まあ、見事にこけてくれたな。 『この野郎!』 こいつも大きく振りかぶってくるから避けるのは簡単で、きっと男を睨んでみぞおちに一発入れた。 ごほごほとむせながら倒れ込んだそいつを置いて逃げようとしてるもう一人の腕を掴むとビルの壁に押しつけた。 『…すんませんでした…』 小さく聞こえた声に俺はさらにイラっときた。
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